一級建築士

【一級建築士】消火設備の種類・仕組みを解説【環境設備】

MoTsu
MoTsu
どうも、ブログ始めるまでゲーム中毒でした。MoTsuです。

マンションのエントランス付近にある送水口を見たことありますか?

ショッピングモールや病院などの天井にスプリンクラーがあるのは見たことがあるのではないでしょうか。

本記事ではそんな建築に使われる消火設備についてお伝えできればと思います。

屋内消火栓設備

その建物にいる人による初期消火を目的とした消火設備です。

設置規模としては、工場や倉庫、指定可燃物の貯蔵所には放水量の大きい1号消火栓を設けます。ホテルや病院などでは一人で操作可能な2号消火栓、易操作性1号消火栓、広範囲型2号消火栓を設けます。

過去問題を見ると警戒区画範囲の問題が多く出ていたので、2号は15mであとは25mと覚えればよさそうですね。

1号 易操作性1号 広範囲型2号 2号
警戒区画範囲 25m 25m 25m 15m
放水量 130L/分以上 130L/分以上 80L/分以上 60L/分以上
放水圧力 0.17MPa以上 0.17MPa以上 0.17MPa以上 0.25MPa以上
操作性 2人以上 1人 1人 1人

スプリンクラー設備

天井に2~3m感覚で設置されたスプリンクラーヘッド(水が出てくる部分)から、火災が起きた時の熱によって自動的に散水し消火を行う設備です。火災の熱によって消火を行うため、火が上がった初期の消火に最も効果があります。

スプリンクラーの仕組み

開放型

スプリンクラーヘッドの放水口が常時開放されており、熱感知器や煙感知器によって散水する他、人の手動操作によって散水します。一斉に散水することが可能なため一気に燃え上がる恐れのある建築物に設置されます。

<div class=”simple-box7″><p>開放型は劇場の舞台などに設置されます。</p></div>

閉鎖型

スプリンクラーヘッドの放水口が常時閉じており、火災時の熱を感知してヘッドが開き、自動的に散水します。

  • 湿式

スプリンクラーヘッドまで常時、加圧された水が充填されています。スプリンクラーヘッドのフューズが火災の熱によって溶け、放水口が解放されることで自動的に散水できるようになっています。

<div class=”concept-box1″><p>湿式のスプリンクラーヘッドが最も一般的な方式になっています。</p></div>

  • 乾式

スプリンクラーヘッドまでは水が充填されておらず、途中の配管までに水が充填されています。湿式と違うのはスプリンクラーヘッドまで水を充填していないということ。

なぜ、乾式ではスプリンクラーヘッドまで水を充填しないのか。

それは寒冷地において湿式を採用した場合、スプリンクラーヘッドまで充填した水が凍り、散水することができないからです。

<div class=”concept-box1″><p>乾式は寒冷地において設置されることが多いです。</p></div>

 

  • 予作動式

スプリンクラーヘッドと別に感知器(センサー)を設置し、スプリンクラーヘッドと連携させることで、自動的に散水する方法です。

<div class=”concept-box1″><p>予作動式は誤作動が許されない電算機室などに設置されます。</p></div>

スプリンクラーまとめ

・開放型→劇場の舞台など

・閉鎖型湿式→一般的に設置されている

・閉鎖型乾式→寒冷地仕様

・閉鎖型予作動式→誤作動の許されない電算室

水噴霧消火設備

字のごとく水を霧状に噴出することで窒息作用冷却作用によって消火する設備です。

油火災の表面に噴霧すると、表面で乳化した層ができるため指定可燃物の貯蔵所や駐車場など普通の消火設備で消火できない場所に用いられます。

ただ、天井の高い空間においては霧状の水が降下するうちに水滴になってしまうため、適していません。

<div class=”concept-box1″><p>

窒息作用・冷却作用によって消火!

ただし、天井の高い場所では使えません!

</p></div>

泡消火設備

こちらも字のごとく泡を噴霧し、窒息作用冷却作用によって消火する設備です。

泡消火設備は水噴霧消火設備と違い、降下しても泡がつぶれることがないので天井の高い建物に設置されます。例えば、飛行機の格納庫など!

ただ、電気絶縁性がないため電気火災の多い電気室や、ボイラー室には適しません。

<div class=”concept-box1″><p>

窒息作用・冷却作用によって消火!

天井の高い場所でも使えます!

ただ、電気火災には適しません!

</p></div>

不活性ガス消火設備

酸素濃度を下げる窒息作用によって消火する設備です。

消火によって汚れることや感電する恐れがないので、コンピュータ室や図書館の書庫に適しています。

消火剤にはイナートガスや二酸化炭素が用いられます。

イナートガスは人体への安全性が高く、GWP(地球温暖化係数)ODP(オゾン層破壊係数)がともにゼロで環境にも優しいです。また、二酸化炭素は気化潜熱が非常に大きいため、窒息作用だけでなく放出時の熱吸収による冷却効果も大きいです。

<div class=”concept-box1″><p>

・窒息作用で消火します!

・消火で後始末は大変にはならないよ!

・いろんなガスがあるよ!

</p></div>

ハロゲン化物消火設備

消火剤にハロゲン化合物を使い負触媒作用(抑制作用)により消火する設備です。

ただ、消火剤のハロゲン化合物はオゾン層破壊の原因物質のため生産が廃止され、今は代替ハロンを消火剤として生産しています。

<div class=”concept-box1″><p>

・抑制作用で消火させるよ!

・今は作ってないけど、使う分にはOKだよ!

</p></div>

粉末消火設備

粉末消火薬剤を噴出し、窒息作用・抑制作用によって消火する設備です。

主に、油火災や電気火災、飛行機の格納庫に適用されます。

<div class=”concept-box1″><p>

・窒息作用と抑制作用によって消火します!

・どこでも使用できて、凍結しないから、寒冷地にも使用できます!

</p></div>

フード消火設備

厨房などのフードにある感知器で火災による温度上昇を確認したのち、警報を発するとともに燃料ガス供給用の遮断弁を閉じ、それでも温度上昇したときに消火剤を放出する2段階方式の消火設備です。

<div class=”concept-box1″><p>

1.「あぶないよ!」

2.「もっと危なくなったから、消火剤入れるね!」

</p></div>

屋外消火栓設備

建物の1・2階の火災を屋外から消火する設備です。

1階・2階の床面積の広い建築物や広い敷地に多数の建物がある場合に適しています。

警戒区域半径は40m

連結送水管

高層階など、消防隊による本格消火のためのもです。

屋外にある送水口

3階以上の各階毎の放水口

送水口と放水口を繋げる配管

の構成からなっています。

消防隊員が消防車のホースを送水口へ繋げ、各階で放水口を使用し消火活動をするようになっています。

送水口と放水口には設置位置の条件があります。

~送水口~

・消防車が容易に近づけられる場所

~放水口~

・3階以上の各階毎に半径50mの円で建物を包含できる

・階段室・非常用エレベーターの乗降ロビーなどの近く

連結散水設備

消火活動の困難な地下街等の消防隊による本格消火のための設備です。

地下にはあらかじめ天井に配管されており、送水口から消防車で水を送り込むことで散水ヘッドから消火することができます。

ドレンチャー設備

外部の火災から建物を守るための設備で、延焼の小瀬れのある屋根、外壁、開口部にドレンチャーヘッドを設置し、水幕によって延焼を防止します。

主に、国宝や重要文化財に設置されています。