一級建築士

【一級建築士】建物の給水方式の種類ごとに解説!【環境設備】

MoTsu
MoTsu

どうも、小学生時代に好きな子を見ながらハードル走をしていたら案の定、女の子と目が合った瞬間に盛大にこけたMoTsuです。

・水ってどうやって送られてくるの?

・屋上にあるタンクみたいなの関係があるの?

こういった疑問に答えていきます。

本記事では、建物の給水方式についてできる限りわかりやすく解説していきます。

水の用途

私たちは毎日当たり前のようにきれいな水を使用しています。

飲むことができる水であったり、湯舟にためるお湯であったり。

そんなきれいな水には生活していく中で上水雑用水に大別できます。

上水

上水とは飲料や人体に直接触れる水のことを言います。

水道法で、有毒・有害物質含有量、大腸菌等の水質基準が以下の通りに定められています。

  1. 赤痢菌や急性胃腸炎の原因となる大腸菌は含まれてはいけません。
  2. さらし粉等塩素剤の強力な酸化作用で殺菌し、規定の残留塩素を有する水が供給されなければいけません。

雑用水

洗浄などの目的で供給される水のことを言い、用途によって必要水質が異なります。

給水方式

水道直結方式

水道直結直圧方式

水道直結直圧方式は水道本管の圧力によって給水されます。

水道本管からの圧力によって給水されるため、受水槽やポンプが不要の方式となっています。

そのため、あまり広範囲に圧力が来ることが難しく、低層や小規模建物に適用されます。

ただ、受水槽方式に比べて、水道本管からの引き込み管径が太くなります。

また、水道本管からの動水圧に応じて水圧が変化するため、地域による差が大きく、直接各居室へ送水されるため、水質汚染の可能性は他と比べ、最も小さいです。

給水圧力 水道本管による
水質汚染 最も小さい
断水時の給水 不可能
停電時の給水 可能
機械室スペース 不要
備考 本管からの引き込み配管が太くなる

水道直結増圧方式

水道引き込み管に増圧給水設備(増圧ポンプ+逆流防止装置+水圧制御装置)を設置して給水する方式です。

水道直結直圧方式と比べ、給水本管からの水圧をさらに増圧設備にて一定に圧力を上げるため、低中層・中規模建物に適用されます。

増圧設備にて一時水をためるため、水質汚染は比較的小さいです。

給水圧力 ほとんど一定
水質汚染 小さい
断水時の給水 不可能
停電時の給水 低層階は可能(発電機があればすべて可能)
機械室スペース 増圧給水設備のスペースが必要
備考 増圧給水設備が必要

受水槽方式

高置水槽方式

受水槽に貯水し、揚水ポンプにて高置水槽へ揚水後、重力によって給水する方式です。

中~大規模建物に適していますが、揚水ポンプから高置水槽への横引き管は低層階で行い、高層建物になると、低層階の圧力が大きくなるため、減衰弁や中間階に水槽が必要となります。

また、水質汚染については受水槽や高置水槽で貯水するため比較的に最も汚染する可能性があります。

ただ、受水槽や高置水槽にて貯水するため、停電時や給水本管の断水時には一時的に給水が可能となる方式です。

給水圧力 ほとんど一定 / 減衰弁や中間層に水槽が必要
水質汚染 最も大きい
断水時の給水 受水槽と高置水槽の貯水分は給水可能
停電時の給水 高置水槽のみ可能(発電機があればすべて可能)
機械室スペース 受水槽・高置水槽・揚水ポンプ・
備考 重力によって給水 / 揚水ポンプ→高置水槽の横引きは低層階

ポンプ直送方式

受水槽にて一時貯水した後に直送ポンプで給水する方式です。

中~大規模建物に適しており、水圧はほとんど一定です。

ただ、給水本管の断水時には給水が受水槽分のみとなり、停電時にも不可能です。(発電機があれば停電時にも給水可能。)

給水圧力 ほとんど一定
水質汚染 大きい
断水時の給水 受水槽分は可能
停電時の給水 不可能(発電機があればすべて可能)
機械室スペース 受水槽・直送ポンプ
備考 ポンプの自動制御が必要

圧力水槽方式

中~大規模建物に適し、受水槽に貯水してから、給水ポンプで圧力水槽に送水した後、圧力水槽の圧縮空気によって給水する方式です。

圧力水槽の圧力が時間的に変化するため、圧力調整弁を設けない限り、水圧の変化は大きく、空気が水中に溶けるため配管が腐食しやすいです。

給水圧力 水圧の変化は大きい
水質汚染 大きい
断水時の給水 受水槽分は可能
停電時の給水 不可能(発電機があればすべて可能)
機械室スペース 受水槽・給水ポンプ・圧力水槽
備考 配管が腐食しやすい

上水の汚染防止対策

ちなみに、当たり前ですが、上水は、病原菌などの衛生上有害な物質の混入に気を付けなければいけません。

上水と上水以外の水が混じるような配管のことをクロスコネクションといい、たとえ、逆止弁を付けてもクロスコネクションはしてはいけません。

また、受水槽への有害物質の侵入や、断水時などに生じる負圧や逆サイホン現象によって起きる逆流などによる汚染を防止するため、吐水口空間バキュームブレーカーといったものを設けます。

吐水口空間

吐水口空間は逆流による上水の汚染防止目的として、給水栓の吐水口と器具のあふれ縁との間に、吐水口径の有効断面の直径の2~3倍以上の空間のことを言います。

バキュームブレーカー

バキュームブレーカーは給水管などに設け、断水などで給水管内が負圧になろうとする場合、外部から空気を吸引して負圧の発生を防ぎ、汚水の逆流を防止する装置です。